2010年4月10日土曜日

DLC ・・・・

DLCの特徴を少し整理して並べましょう。
(DLCというコーティング薄膜の話をしています。)

硬い   >金型、切削工具
傷がつきにくい  
腐食しにくい  >コピーローラー  混合水栓
薬品に強い  >薬品保存容器 医療機

ここまでで、ずいぶんと色々な用途が思い浮かぶでしょう。
しかし、こういうのを見ると、DLCは万能だ、と過剰反応
する人がいます。私見では、確かにこのとおりであるが、
金型へのコーティングではまだまだ課題があるのでは
ないかと思われる。金型でも鍛造とか、プレスの型では、
対象加工物と直に接触する条件が、形状や機械、諸条件
で異なるので、一定した性能をDLCが出せるには至って
いないと思われる。
従って、DLCは同じ条件を反復して繰り返される部品への
処理が、今のところ主流である。金型というのは本当に
条件が無限にあるので、DLCを万能とするのは、早計
だろう。

またDLCも様々な条件によって、そのもつ特徴の最大の
能力を発揮するパラメーターがあり、このあたりは、DLC
というカテゴリーがあって、その中に何種類ものコーティング
があると考えたほうが、わかりやすい。

CVDのTiCとか、TDとかは、40年以上前に、プレス金型の
分野において、劇的な効果を実証し、顧客を広げたが、
PVDにおいては、こういう夢をもう一度的な効果はあまり
出ていないように思う。といっても数社のコーティングに
おいては、劇的効果があるものもあるが、それだけ膜の
種類、枝葉末節が多く、顧客を混乱たら占めているところ
かもしれません。

条件をひとつに絞れる、部品への処理に特化することが
PVDやDLCのビジネスとしては、良いかと思うが、そうは言っても
金型への万能なコーティングを求める声は多い。
私の考えでは、硬く、耐食性に優れ、膜厚を100ミクロンまで
調整でき、なおかつある種の物質には弱いので、これで処理後
も膜をいじることができ、なおかつ低温処理である・・なんて
そんなコーティングが理想ですが・・・

続けると・・・

人体にやさしい >歯 手術用メス 人工血管 カテーテル
 滑らか
相手材料の損傷が少ない
付着しにくい 汚れがつきにくい  > 液晶画面  ゴムなどの金型
菌の繁殖を低減   >電気かみそり
透明度が高い  >サングラス  メガネ
赤外線をとおし、紫外線を遮断
ガスを遮断
電気絶縁

DLCを施すことによって、様々な性能が得られることはよく
わかったかと思います。特に常温DLCの分野では、大変な
成果が期待されます。
 前回三菱重工云々かきましたが、ふくはうちテクノロジーという
会社がこの分野で出てくる名前のようです。

ここから想像するDLCの未来とは、
車のガラス>これは処理されてしかるべきでしょう。
トイレ>だよねえ。こびりつくときあるじゃない?
鍵>ミクロン単位の耐磨耗形状を実現、目に見えない
形状で鍵を作る?
お金>古い紙幣とか、臭くなりません?汗がしみこまないので
お金はいつまでも美しく。
化粧品>DLCを施したファウンデーションパウダーで
いつまでもみずみずしい肌を!
スケートリンク>これからはDLC処理済のタイルで、年中
真夏のタイでも屋外でスケート可能!
時計>すでにカシオがDLC処理したものを出していますが、
私は、あのバンドの裏が臭くなるのが嫌いです。
シャツ、下着>説明不要
フライパン>ボーっとしていても、大丈夫。焦げ付き知らず。
骨>トップアスリートは一度膝の骨にDLC処理をして、
低摩擦で新記録を出しましょう。

ほかにも色々あると思いますが、もうすでに色々と応用されて
市販されているかもしれませんね?

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

もはや時代は工具鋼、S-MAGICだろ?by油屋

匿名 さんのコメント...

 日立金属が開発した新型工具鋼 S-MAGIC(SLD-MAGIC),は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応であると。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度には目を見張るものがある。

匿名 さんのコメント...

おれはSLD-MAGIC+WPCだとおもうが。
なおレイノルズ方程式からもディンプル効果は導けます。