2010年4月8日木曜日

・・・みたいなもの DLC

ダイヤモンドみたいな特性をもつ膜・・・それがDLCです。
ダイヤモンドライクカーボンという名前です。

まあとにかく、これは硬そうだ、効果がありそうだという物質
を思い浮かべる時、チタン系、クロム系、タングステン系と
ありますが、DLCは炭素系のコーティングと考えればいいので
しょうか?

わかりにくいので用途を見てみましょうか?

ペットボトルで何故ビールを飲めないのでしょうか?
実際、あれで飲んだらおいしいとは思えないが、これは
ペットボトルに透過性があるからだといいます。酸素、
炭酸ガスが透過しやすいので、ビールの風味、酸味が
維持できないらしい。そこで、このペットボトルの内壁に
DLCコーティングが行われている。三菱重工の技術です。

特にお茶系の飲料に採用されていて、日本では橙色の
キャップにはDLCがされているそうで。これにより、
酸素や炭酸ガスの透過性が15倍向上し、飲料の風味が
保たれるのである。ほかのコーティングもできるが、DLC
に比べれば、リサイクル性で劣るとのこと。
パンチとか、切削工具とか、そんなんじゃなくて、様々な
世界でDLCが活躍しているにはそれなりのわけがある。

DLCを生成する方法は、様々であり、特に重要なことは
工具などへのコーティングではある程度の温度をかける
ことが必要であった。(ここでいう温度とは500℃とか1000
℃という温度でっせ。奥さん。)
しかしDLCは室温でも生成が可能なコーティングであり、
前回、平滑性に優れるということを説明しましたが、
基材の表面粗さを成膜後も維持できるという特性を
もっている。それだけに、応用範囲が広いのである。

実際、いい表面処理だと思って使おうと思ったら、
あんたのは肌が汚いじゃ、にきびが多いじゃ、風呂
入ってから出直して来い、なんてことになるが、DLC
には、言えば、対象を選ばないだけの可能性がある。
これはCVDよりPVDがそうであるように、DLCは
PVDより対象を選ばない。

たとえば、上記のように酸素を通さないという
コーティングが常温で可能であるのなら、全く新しい
食品のパッケージも可能ではないか?
体にDLCしたら、すっぱい加齢臭が発生しないとか?

用途をもっと見てみましょう。ハードディスク??
赤外線レンズ? ディーゼル車エンジンの燃料噴射
部品、カミソリ、非球面レンズ成型工具、スピーカー
むむむむ・・・

摩擦係数という言葉があります。
子供の頃、スーパーカーの形をしたスーパーカー
消しゴムがはやりまして、これを机の上で滑らせて
競争をしました。これには、あの、小さなボタンを
押すと、スイッチがポント飛び出る、ボールペン
が欠かせません。その飛び出るお尻で、消しゴムを
飛ばして、競争をするのです。

こんな感じでね??
(転載OK?)
消しゴムはゴムです
から、それが木の
机の上にのっている。
この状態で静止して
いれば、これを動かす
最小限の力、それが
最大摩擦力といいます。
ゴムなんで割としっかり机にへばりついていますから、
摩擦力が多くいります。摩擦係数が高い材料です。
材料と材料の相性で、この摩擦力は変わりますが、
こういう値を摩擦係数で表します。摩擦係数が低ければ
低いほど、その物質と物質同士は、滑りやすいという
ことになります。これは重要な技術です。

如何にして、摩擦係数が低い状態を作るかは、如何にして
エネルギーロスの少ない物質の移動を行うかという課題に
つながり、あらゆる工業の側面で重宝するわけです。
上記の、スーパーカーレースでも、そのうち頭のいい奴が、
消しゴムの裏に画鋲をつけて、摩擦係数を低減するという
改善を行っていました。きっと今頃、彼はいい生活を
していることでしょう。

通常摩擦係数は、相手の材料との組み合わせによって
変わってくるわけです。ところがDLCと来た日には、
どのような相手材と組み合わされても、摩擦係数が低い
という大きな特徴を持っています。
であるから、ものが接触しあう摺動面においては、DLC
によって、大変な効率改善が期待できるわけです。

用途はまだまだ増えるでしょう。DLCおばさんは、近所と
の摩擦を極力起さない、誰からも好かれるいい人ですから・・。

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