2011年11月24日木曜日

今回の洪水をとりあえず考察してみる。

まずはこの度、洪水の被害に遭われた被災者の方、大切な設備を水に呑まれた日系企業の皆様に、(お世話になっているお客様へ)、心よりとりあえずは、お見舞いを申し上げます。
そしてとりあえずは、今回の洪水を振り返ってみたいと考えます。
とりあえずを連発しているのは、他でもない、自分の家も、被災寸前のところまで行って、踏み止まり、挙句は水が乾きだしているので、そういう言い方をしているわけです。

1992年にタイに来ましたが、こんな洪水は初めてです。本当にびっくりしました。診断君は今日、サムロンのあたりのお客さんのところへ行ったのですが、ここのあたりは、実は来た当時はしょっちゅう洪水で、雨季になれば、洪水と渋滞で身動きままならぬ状態、いすゞさんの工場のあたり、トヨタさんの工場前、そうしたところが当たり前のように水につかり、いつしかそこに小さな窪みができ、それを大型トラックが通るたびに、窪みを広げ、挙句水に使った道のところどころに見えない大きな窪みができ、小さな車でそこを通るのはおっかなく・・・なんてことが当たり前で、逆に今、この辺りが洪水と無縁というのも皮肉な感じが致します。あるゴルフコンペの朝、診断君はその頃乗っていた草原色のランサーで、窓ガラスまで届かんばかりの、水位の水に遭遇したことがあります。

今回の洪水、何がショックと言えば、あの日曜日の、ホンダさんが浸かっている映像を見たときでした。私の家内は、随分前から、洪水がくる、洪水がくるとノイローゼのようになっていて、内心、(馬鹿か?)と思っていたわけですが、なるほど、これは甘かった。洪水を甞めていた。心の中で我が不明を謝ろう。(ちゃんと謝ると、つけ上がるので・・)

津波に比べれば、洪水なんて、たいしたもんではない、そういうスタンスであったと思うのだが、なにしろその洪水の高さが違う。2m超えれば、これは私がタイで知っている洪水ではない。来年も起きるのだろうか?今年は例年より雨が1.5倍降ったというが、頼むからもっと、理知的な、ロジックな分析をお願いしたいものである。

こんな状況では、日本の損害保険会社は大変なんだろうが、すでにタイの損保は会社をたたんだところもあるそうな・・・

2007年まで私は、何年に何があったのか、よく覚えていない。それは、タイがあまりにも何も起きない国であり、永遠の時を感じていたわけである。唯一1997年は、通貨危機でこれは鮮明に憶えているが、それ以外の年は、暑い、渋滞、仕事、ゴルフ、夜遊び・・・タイの社会情勢が何も私の私生活に介入してくることはなかった。

ところが最近ときたら、黄色、赤色、洪水と、毎年年替りでイベントがあり、その度に、それが自分の生活に影響を与えそうな微妙な感じになり、なかなか、覚悟を強いられること多々多々、最早、平和ボケもここまでかと思われる。今回の洪水で、どれだけ、政府とバンコク都が仲が悪いのかが分かったし、この国は、もう誰も、何も強制力などない、(真の)民主主義の国で、誰一人嫌われ者になる気はなく、誰も、長期的な国土計画などに手を貸す気もなく、考えてもいず、そもそもそういうことは王様がしてきたわけであるが、こんなときこそ、王様の後をつぐ人が、長期的な国土計画を率先して、いつ変わるか分からないような政府とは別に王室プロジェクトとして進めるべきではと思うのだが、部外者が何を言っても・・・

なんにせよ、国際空港を封鎖しても誰も罪に問われないというあたりから、タイ国民はやや離散しだしているような気がして、今後のことを考えると不安は燦然と頭上に瞬いている。

今回はタイのテレビを嫌でも見たのだが、随分チャンネルが増えたもので、前は、3,7,9,11とか言う感じで分かりやすかったのだが、今は名前も色々で分からない。テレビに出てくる、大学教授なり知識人なりも、大概被災している人が多いようで、どうも見ていると、今回診断君も探索に出かけた、ランシットの付近に多く住んでいるのではないか?診断君がお世話になっている、キングモンクット大学のカルナ先生は、ジェンワタナだし、M-TECのアンチャリー先生は、ランシットに住んでいることが判明、大学教授は、このあたり多いのは間違いない。

しかしながら、洪水の専門家らしき教授なり、知識人が、被災しているのは、洪水が来た場合のリスクスタディをした結果そこに居住されているのだろうか?それとも分かっていてそこに住んでいるのだろうか?診断君が地震学者で、どこに危ない活断層があるか分かっていれば、そこに家を建てることはないと思うのだが、それはあまりに愚民感覚であろうか?

今回、というか現状において、診断君城は辛うじて、洪水を免れたような状況において、まるでノアの箱舟みたいであるが、それまでに随分と、船、長靴、その他諸々の洪水グッズを探し、チャイナタウンまで出かけたものであるが、その必要は全くないことが判明した。洪水が近づけば、自然と、道端に、こうした洪水対策グッズを売る屋台が立ち、簡単に何もかも手に入ってしまう。それは、寺院にでかけて、短バン、ビーザン姿で行って、寺に入れてもらえないと思いきや、チャントズボンを貸してくれる、というこの国のスムーズさ、免許を取りに行ったら、免許の申請書を書いてくれる学生のアルバイトが必ずいるという面倒臭くなさ、ああ、タイランド、これがあるから、私はやっぱりこんなに長く住んでいるのだろう。長期的な視野なんかなくても、何とかなるさのこの世界。でもそれでも、最近の王様を中心と考えないような民衆の離散ムードについては、診断君は十分に注意を払いたいと思うのである。