2010年2月9日火曜日

成分と製法と性能

大学の学生は、色々なプロジェクトを抱えており、それは企業が
お金を出すものもあれば、自分でお金を出しているものもあり、
お金のある学生>コネで研究PJ ゲット
お金のない学生>運がよければ、企業との共同研究に関わる。
というように、貧富の差が、研究内容の差に現れます。

色々なコーティングの成分分析をしている学生がいましたが、
成分分析だけで終わっているのは実に勿体無い。しかし、彼らは
実社会でそのコーティングがどのように使われているのか
分かっていないわけですから、ある面仕方がない。
なんか、細かい誤差範囲の数値の違いを見つけて、それを
結果として発表している。

こうした研究の経過報告で、時々学生は教授と面談していますが、
教授の部屋の前には数人の列が出来て、そういう日は1ヶ月に
1,2回ある。学生も待ち時間が長いので、部屋の前に卓球場
があり、これはそのためなのか教授のためなのか不明だが、
面談を待つ間、卓球をしておる。

成分分析は、確かに今まで自分が思っていた処理の内容と
全く違う成分を見つけたりして大変意義深いものではある。
しかしながら、製法が明らかにPVDとかCVDとか分かっている
場合、大体の製法の予測はつくし、むしろ性能評価のほうへ
話がいってしまう。金属の元素は、成分分析で、ほぼ確定
出来ても、膜生成の製法としての補助的な、ガスなり、ケミカル
なり、下地処理なり、そういったものは、見えてこない。
おのずと性能分析主体となるが、実際に使用される
エンドユーザーでの評価に通ずる性能分析など、あまり
見たことはない。これは材料の世界でも一緒。

そもそも金型を使うのは、現場の兄ちゃん姉ちゃんであり、
この人たちの金型の扱いで状況は大きく変わってくる。
ただ現場には、真の性能評価に近いものが転がっている
筈である。 しかし、重箱の隅をつつかないと、分からない
くらいの、性能の違いを語るのは寂しい。

プレス金型の分野では、TD、CVDが、実際に劇的な様々な
効果をユーザーにはっきりとあらわせたため、あとは、歪の
問題とか、加工段取りとか、そういった方面への注意が
メインであったが、例えば
1.コーティングを採用したが、違いが明確でない。
2.むしろ悪くなった気さえする。
3.歪まないといっていたが、歪むじゃないか?
4.高い割りに大したことない。
5.用途によって得手不得手がある。
6.ローカルが、金型の寿命に逆の意味で気を使う。
>例 いつも5000もつ型が、もっと長くもっては管理上困る。
と言っている。
7.金型が持ちすぎて、2年もつので、今年の予算はない。
8. なんにせよ、現場から何も言ってこないので使えるんじゃ?

といったような、表面改質をとりまくユーザーの感想は
様々で、その評価もシビアなものから、現場の声次第という
ものも多く、用途にあった適切なコーティングの選択は
今後、ますます雲を掴むような話にもなりかねない。

それはつまり、金型へのコーティングに目だってストロング
なキャラクターが不足していることを表している。それで
性能評価を経て採用された部品への処理の方が、
安定受注できるということになる。

こうしたもやもやは、今後も続くだろう。カタサで言えば、
高価な超硬より硬い膜は沢山開発されていますが、
だから、超硬需要が減っているなんて話は聞いたことが
ない。やっぱり、超硬なのである。

育毛剤か養毛剤か、植毛か、カツラか??
勿論、こうしたもやもやの中に多くのビジネスチャンスが
あり、実際に実現し継続していることも、筆者は否定しない。
しかし、第3者機関の体系的な評価システムも、あって
いいんじゃないですか?と思うこのごろである。

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