2010年8月9日月曜日

空港電車

日曜日に暇でしたので、空港へ行きました。
なぜ空港へ行ったかって?実は出来立ての空港電車に乗ろうと思ったのです。

人の家族も連れて行きましたので、ずいぶんと賑やかで、やはり飛行機
が発着するのを、滑走路脇の道路の車上から見るたびに大騒ぎになりました。

空港について、電車を探すと、どうも地下に駅があるらしきことがわかり
ました。おりていくと、柵がありました。しかし列車の標識があるので、そのまま
構わず、柵を越え地下に行きました。

そのとき、私は家内が、背中の開いた大きなワンピースを着ているのに気づき
ました。そしてその背中の一部が大きな豆粒上に赤く腫れていることを発見
しました。

駅には人影がなく、警備員らしき人が数名立っているだけです。
しかし不思議なことに改札らしきものは見当たりませんでした。

もしかしたら、開通間際の試運転のために、無料なのかも知れない
と簡便に納得をし、電車の来るのを待っておりました。

一緒にきた家内の親戚の子供が、黄色いボールペンを丸く丸めたスカート
の膨らみから出してきました。それはさっき、シーナカリンのPARADAISE
というショッピングモールのLOFTで買い物をした時に彼女が買ってくれと
いって泣き喚いた、あの件のボールペンでした。
あのボールペンをそのまま、スカートに隠して持ってきてしまったのでした。
皆が騒然となりました。子供のこととはいえ、彼女の未来のためにも
これを返さなければいけない、そういう結論に達したのです。

気がつくと、近くに白人の夫婦が現れ、彼らも同じように電車を待っていました。
そういえばもう、30分以上待っておりますが、電車はきません。
その白人もやや焦りだしたのか、近くの係員に文句をいいました。しかし
彼女は、平然と、うるさそうに、暗いトンネルの先を指差します。

なるほど、程なく、確かに、彼方から、電車が現れました。

電車は、そのホームに走りこんできた轟音とは裏腹に静かに止まりました。
しかし、電車の中は静かで、まあ言ったら、あまりBTSと変わらない車内で
あるが、ガランとしておりました。
電車の中には、よくお寺で見かける、仏の蒔絵のようなものが壁中みっしりと
書かれておりました。エアコンはなく、扇風機が回っておりましたが、車内は
まるで洞窟のように涼しかった。

しばらくして、何の前触れもなく電車は走り出しました。
電車はしばらくするとトンネルを抜けて、高架の上を走り出しました。
ふと空を見上げると、羽を広げた大鷲のように、ジャンボが空から
飛来しておりました。

そばを併走する、道路上の車がマッチ箱のように追い越しあいながら
われらの電車においつこうともがいておりました。

子供は、叱られてしょ気ておりましたが、電車の中でやっと機嫌が
よくなりました。”こんな小さな頃から、万引きだなんて、子供なんて
持つもんじゃないな” そう心の中で密かに嘆息しておりました。

しばらく行きますと、左にヒスイ色のイスラム寺院が建っており、
そこだけまだ早い赤い夕方の日差しに照らされておりました。
同乗していた白人は、ここで降りました。
そして、さらにいきますと電車はシーナカリンの道路に差し掛かり、
そこで大きく左折を致しました。

右側に、人気のない30階建てくらいのビルが建っており、その周りは
草がぼうぼうと茂り、人を寄せ付けない風情でした。
ところがしばらく行くと、大きな三角屋根のお寺が建ち、その屋根に
白い鳩が無数に留っておりました。
そのお寺の本堂はこれもまた、出来立ての茶色と白の
マンションに囲まれて、なにやら罰当たりの風景でした。

その寺の裏に大きな川があり、これはオンヌットの寺の裏を
流れる有名な川だと思いますが、子供が数名、橋の欄干から
飛び込んで水遊びをしておりました。

こんな風景を眺められるほど電車がゆっくりと走っていたのですが
気がつくと、電車はPARADISEの前に止まっておりました。
駅を降りると、小さな鶉の卵を数個目玉焼きにして売っており
ましたので、一袋買いました。

我々一団は、LOFTに行き、店員にことを詫びてボールペンを
返却いたしました。子供は泣きじゃくり、親ももらい泣きをし、
傍から凄い景色でしたが、まあ、ことは解決しました。
そして、皆でアイスを食べ、行列に並んでたこ焼きを16個購入し、
帰途に着きました。

PARADISEの駐車場から出ると、もう外は夜になっておりました。
件の子供は、さっきの泣きべそが嘘のようにけらけらと後部席
で笑っておりました。とりあえず、今日は電車に乗れてよかったね、
皆でそれだけを確認して、別れたわけです。

家内の背中の腫れは直っておりました。
こういう腫れが、一日のうちに何度か起こっているのでしょうか?
私は、あの空港電車の蒔絵がもう一度無性に見たくなったのです。

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