2011年11月6日日曜日

ランシット タイ洪水探訪記4

水、それは人の命を保つもの。
水、それは時に戯れ、ふざけあい、心の澱みを透けさせるもの。
水、それは知らぬ間に天に駆け巡り、再び地上に落ちてくるもの。
水、それは咽喉潤すもの。
水、それは、体の汚れを清めるもの。
水、それは、時に聖水となり、信仰の重要な仕掛けとなり、
水、そこにうっかり、大事なものを落とし
水、それは、手術から目覚めた朝、軽く綿に含ませ唇を湿らせるもの。
水、そのせせらぎは、絶望の彼の耳に幽かな希望を注ぎ、
水、それは白く、硬く、熱を冷ますもの。
水、それは怒り狂う火の鎮め、
水、それは人の生み出す汚れを、暗い地下に流し込み、清めるもの。
水、それは人の命を脅かすもの。
水、それは時に巨大な風を呼び、人を追いたて、木々を倒す。
水、それは時に高く猛り立ち、幾千の家と命を奪い去る。
水、それは時に白い塊となり、人を凍えさせ、
水、それは時にその水かさをまし、生活そのものを陳腐と成す。
水、それはあらゆる姿になり、その瞬間まで、人の敵か見方かわからない。
水、私たちは、瞬時に水を消すことはできない、
水、私たちはその中で自由に飛び跳ねることはできない。
水、僕の足元にある水と、僕のかく汗と、渇きを感じ、僕の呑む水と、
水、御しやすく、御しにくく、人を包み込み、人を許さず、
水、人は水と共にある・・・・・・

昭和中期の詩人 馬副 痣 の詩から。

というわけで、第4回は、いよいよ船に乗るわけですが、ついに診断君の家も洪水が目の前に迫ってきました。それはこの、第4回のレポートの後にご紹介しましょう。

 満を持して、登場の我らが船です。運転手が漕いで、例の未来公園乱嫉妬の臨時港から、こちらにむかってきます。
 一抹の不安は、この船、本当に3人も乗れるんだろうか??ということでした。

そして案の定、3人のると船は沈みかかり、おまけに田淵が座った板はパカンと割れてしまい、最早、この船で行く勇気は出ず、エンジン付の船をチャーターすることに。









 何せ、普通のトラックでも左の写真のような感じで、かなり厳しい感じで入っていくのですから、我々、いつ沈むかわからないような船では無理と、英断を下したわけです。
赤い、6人乗りくらいの船を調達し、出発しました。













 このあたり、当然高速の降り口だったわけですから、電線やら電話線やらが複雑に絡み合い、水の下も、色々と危険な部分もあるようで、なかなか緊張の連続でした。
 本来であれば、川が道に沿って流れているのですが、道と川の高さは完全に一緒になっています。
それはそれ、様々な船が行き来しており、水の臭さを忘れれば、東洋のベニスという感じでしょうか?











 タクシーなら、100バーツもしない距離でしょうが、この船頭は600バーツ吹っかけてきました。しかし、どのルートを選んで行くかは、かつて沈んでいなかった頃の土地勘を要すると思います。自分らでいったら、このあたりで溺れていたのでは?
 ところどころ高くなっている橋のところだけが、唯一の乾いた陸地となります。
本当に天気はいいんですが・・・
 見てて思ったのは、この船が出す、波というのは非常に気を使うということです。時々、非常に速度を上げているボートを見ましたが、そのボートの出す波に、船頭がしきりに大声で、制止していました。確かに、これは小さな船にとっては、沈没につながりかねない、揺れを与えます。








 また、あんなところで泳いでいやがらー
 ランシットのこの川の上で、大きな船を浮かべて商売をしている店が多く、こういう店は、なかなか洪水には強いと思いましたが、
 こんな風に沈んじゃった店もありました。
 こういう、橋の下は、色々な線が垂れ下がっており、電線でも触らないか、ひやひやしました。












 クロン2の田淵家に入るソイの入り口は、比較的水が少なく、それがために、船でこれ以上入ることはできませんでした。
 場所の高低差があると思いますが、結構こんなかんじのところも多いのです。
 左に、東洋製罐の工場がありますが、その前の道を奥まで入ると田淵家ということでしたが、流石に夕方遅く、乗り合いの車もなく、歩いて行っても、どこでいつ深くなるか分からず、我々は断念しました。









 帰りの船を探していると、そこに軍隊のトラックが現れました。
 聞けば、これでそのまま未来公園乱嫉妬まで行けるとのこと、我々は飛び乗りました。
 車上はこんな感じですが、感じとしては、無料の乗り合いバスのような感じで、行き先はバンブアトンと行っていましたので、結構な距離を走るのでしょう。
 ところどころほとんど水に使っていないところもあり、このあたりの微妙な差は、水が来てみないと分からないのではないのでしょうか?












 すでに、6時が過ぎ、夕暮れが迫ってきました。我々はこのあと、未来公園乱嫉妬にて、下車しましたが、まずそこでトラックから落ちて、尻をしたたかに打ちました。
 もうこの後のことは、思い出したくもありません。なにしろ、変なところで降りたので、高速の橋げたと橋げたの間を飛べとか、モーターサイラップチャンに乗って迷走したりとか、
 最後には、こんな発泡スチロールのボートの乗せられ、
 もう散々の体で、最後やっとこんなジュース売りのお姉ちゃんのところで、ビールを買うことができて、命からがら、乱嫉妬を脱出したのでした。洪水の時の高速道路には近づかないようにしましょう。

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