2011年1月2日日曜日

自給自足とは

最近、診断君は中南米のインカやらマヤやらの文明に凝っていて、
時間が出来るとYoutubeなどで情報を漁っているわけである。
会社でこんな僻地の文化に興味など持っているのが分かると、
”そうか、君はそこに興味があるのか”等と、下手したら、会社
立ち上げのメンバーに入れられかねない。サラリーマンでは
知的好奇心活動は、家でこっそりするしかない。

あんな河もない密林だらけのジャングルの中でマヤ文明が栄えた
というので、印象的にはかなり強烈な生贄、間引きそういうものが
横行したのではという、野蛮人に対する偏見的なものもあったので
あるが、どっこい彼らの完成されたシステムの中にあって、文明が
スペインに滅ぼされるまで2000年も栄えたことは大変感慨深い。

何より、石灰を使って漆喰を作り、それで地面を舗装することに
よって、雨水をある決まった高低差の貯水池に運び、それを3段階
のPriorityで貯水するような方法で、無駄な水を出さないなどという
方法は、正に、棒読みのエコロジーよりも遥かに完成されており、
なかなか、恐縮である。

石灰を未だ硬い玉蜀黍と一緒に煮ると、玉蜀黍が柔らかくなるという
くだりも非常に興味深かった。

マヤというのは、いくつかの国に別れ、お互いが非常に緩いネット
ワークで結ばれた、分散国家の文明であったが、お互いの争いの
方法を一定のルールで行っていたのは実に面白い。曰く、小国と
小国の戦争は、日時の指定された日に、上層の人間同士のみで
行われ、最終的に相手を徹底的に滅ぼしつくすとか、奴隷にする
とかそういうことは決してなかった。あくまでも戦争という行為を
社会のシステムとして容認しており、殺傷力の弱い武器で戦った
のである。

こんなことをしていたから、スペインに攻め込まれた時に、人口の
2割に減るまでに負けてしまったのだろうが、少なくとも2000年は
このようなシステムを保ったわけである。

たとえば、今の世界で、核兵器を使うのはもう止めよう。撤廃だ。
と約束をして、南極かどこかで、年に1回モデルガンや、ゴム弾で
戦争ごっこをしましょう、なんていうことになるのだろうか?
すると、海王星人か何かが攻めて来た時に、まるで勝てません
などという人類のペーソスを味わうのだろうか?

しかし、生贄はやはり色々とやっていて、非常に深い洞窟の底に
ある湖には、沢山の生前に傷をつけられた、殺されたと思われる死骸が
発見されているのである。番組では、これが雨乞いの生贄であると言って
いたが、上記のような完成された統制の中での国家は、当然
の如く、厳しい法律による統治が必要とされたわけであるから、
彼らは、みせしめとしての死刑囚ではなかったのではないか?
そうでなければ、頭の皮とか剥ぐだろうか?

天文観測に優れ、焼畑農業で2000年を過ごしたのである。
そこには、人間のあらゆる悪性を抑制する、冷徹な国家の意思
が働かなければならなかったであろう。自給自足とか自己完結
とかいう考え方は、そう簡単に実現できるものでなく、まして
日本人のように、必ず外国に資源を求めて出て行った歴史をもつ
民族には、理解しがたい仕組みと言えるであろう。

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